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しかし、成功例市町村は企画の段階から女性を参加させようと努力しているのは、既述のように、農村文化は即ち農村生活文化であり、生活の中心は女性であることの認識を再確認した形になっているからであり、女性が参加し易く、女性の感覚が活用される場を準備する配慮がなされている。そして、女性の力が活動の下支えとなり、維持へとつながっているのである。
女性自身の発想によって、絵本のある町やこども図書館などが小規模ながら造られ、時間経過の中で少しずつ発展している例もかなりある。
しかし、これも個人立の博物館美術館と同じく、自治体や住民、殊に男性が無関心である場合が多いが、ひとたび支援の手を伸ばすと、急速な地域おこしが着実に子供を巻き込んで進展している実体は注目すべきである。
文化こそはまさに継続は力なりの言葉が直接当てはまるものなのであり、文化にとって最も大切なのは、自然環境の保全と同じく、子供たちに良きものを伝えることなのである。
自治体が主導するが、段階的に民間に渡していく形で、自然環境を整備あるいは回復して、保全を計る地域おこしをして成功する例も見られる。
良き自然環境が極めて優れた文化であるのは、日本の文化が平安時代以来、花鳥風月の自然を友とする感覚の中から生れてきた事実を見ても十分過ぎるほど理解出来る。
川を洪水から守るために補強工事をするのは土木工事による建設であるが、山に緑を植え、町や村を花で一ぱいにしようとする活動などは、明らかに人の心に対する文化運動である。
行政がタテ割りであることに影響されて、現代の日本人は教育、文化、環境、福祉を別の種類に分けて取り扱っているが、これらは広い意味で文化そのものなのである。いずれも本質は人間の心を養うことを最終目標とするからである。
本委員会は調査の重点をいわゆる芸術文化や伝承芸能、さらには遺跡等に置いているが、過疎を文化の面から活性化するための手掛かりや企画をどこに求めるかに悩んでいる過疎市町村に対するアドヴァイスとしては、文化を有形無形の文化形態のみにとらわれず、広い意味の文化に対する解釈の上に立って、環境や福祉等を取り込んだ視点からの出発を期待することを強調したい。
従って、この調査結果が自治体担当者の机上だけではなく、住民に広く読まれ、地域おこしの起爆剤発見の端緒となるように配慮されることを期待したい。

 

 

 

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